■トリアツカイ、チュウイ。(コジ&イッシー)


とある巡業先。会場に早く着いてしまって、とてもタイクツ。
そういや腹減ったなぁ…よーし、ここは一つ他の選手との交流も兼ねて一緒に飯でも…
って、あれ?誰もいない…もうみんな出かけちゃったのかぁ。
一人で飯って淋しいなぁ…って思ってたら、いたよ!うーん…ま、この人でもいいか。
「イッシー、飯食いに行こー!」
「…お前さ、今、『仕方ないからコイツでいいや』とか思わなかったか?」
「ななな、何言ってるのー!そんな事…いや…あの…」
イッシー、スルドイ…思わず口篭もっちゃったよ。
「ま、いいや。早く行こうぜ。俺も腹減った」
うーん…どうもイッシーといると、いつの間にか主導権握られちゃうんだよなぁ。
俺はスタスタと控室を出て行くイッシーの後を慌てて追いかけた。

「コジマさん!握手してください!」
飯を食い終わってイッシーと2人でブラブラしてたら、ファンとおぼしき男性に声をかけられた。
「今日見に行きます!頑張って下さい!」
「ありがとう!」
俺はそういって差し出された手をギュッっと握った。
「イシザワさんも、いいですか?」
彼にそう言われたイッシーは、何も言わずに手を差し出して握手した。
もうちょっとさぁ、愛想振ってもいいんじゃないのー?そう思っていたら…
「イシザワさん…カシンさんに『頑張って下さい』って伝えていただけませんか?」
って、彼が言った。なかなかトンチの効いた人だなぁ、この人。
その言葉にイッシーは一瞬キョトンとして、それから黙ってコクリと頷いた。
「ありがとうございましたー!頑張って下さいねー!」
そう言って彼はペコリと頭を下げて立ち去っていった。
「…面白かったね、今の人」
「俺、一瞬何事かと思った…」
そう言ってイッシー、苦笑い。
「苦肉の策だったんじゃない?イッシー今、素顔だったから」
マスクマンが素顔の時に遭遇したら、どうしていいか困ると思うんだよねぇ。
声はかけたいけど、でもマスク被ってないプライベートな状態だしって。
「『カシンさん頑張って』って、どうしても言いたかったんだよ。優しいファンじゃない?」
「そっか。ま、面白かったし。ちゃんと伝えておくか、カシンに」
そう言ってイッシーはニヤリと笑った。そして
「…バカと間違われるよりはいいよな」
ってポツリと呟いた。ああ、あったねぇ。「頑張って下さい、ナカニシさん!」ってヤツ。
俺、その時一緒にいてどうしようって思ったんだよなぁ。
「あの時のイッシー、怖かったなぁ…ものすごい勢いでその人の事睨んじゃってさぁ」
「そりゃお前、間違われるだけでも腹立つのに、よりによってバカニシなんかと…」
そう言うイッシーの顔は、怒ってるようで怒ってない…ちょっと変な感じ。
「イッシー、ナカニシ好きだからねぇ」
「ああ、大好きだね。愛すべきバカだ、アイツは」
…あ、イッシーニッコニコしてるよ。ナカニシの話になるといつもそう。
ホントに好きなんだねぇ。楽しそうに話すんだもん。
…面白いから、ちょっとからかってみようっと。
「イッシー、ナカニシいなくて淋しいんじゃない?」
「な…そんな事ねぇよ!何で淋しくならなきゃいけねぇんだよ!」
いやいや、そんな慌てて否定しなくていいって。俺、わかってるから。
「巡業中にナカニシの事思い出して淋しくなったら、俺に言いなさいね」
「そんな事ないし、だいたい何でお前に言わなきゃいけねぇんだよ!」
「酒飲みに行くぐらい付き合ってあげるからさ」
「いいよ、そんなの。っていうか、何で飲みに行くんだよ!」
「泣きたくなったら背中貸してあげるよ」
「泣かねぇよ!」
「何なら『バカの技』かけてあげようか?アルゼンチンで担いであげるよ」
「俺が痛い思いするだけじゃねぇか!」
ああ、おっかしー!必死になってるイッシーって、面白すぎー!
もうちょっと突っついてみようっと。
「淋しくて寝られない夜は…添い寝してあげようか?」
……バキッ!
いってーっ!いきなりエルボーしなくてもいいじゃんかーっ!
「添い寝だぁ?だったらもうちょっと肉落とせ!」
そう言うとイッシー、歩くスピードを速めてスタスタと先に行っちゃった…。
…ん?「肉落とせ」?俺の方がナカニシよりポチャポ…いや、肉付きいいから?
「ひっでー!俺、これで丁度いいんだよっ!ふざけんなバカヤロー!」
そう叫んだら、イッシーは立ち止まって振り返った。そして
「…先にふざけたのはそっちだろうが、バカ!」
って言って、またスタスタと凄いスピードで歩き出した。
うっわー、怒ってる?怒らせちゃった?ちょっと調子に乗りすぎたかなぁ?
きっと今日の試合は大荒れだぁ。機嫌悪いから。
でもま…いっか。俺、対戦相手じゃないし。今日の相手には悪いけどね。

…この日のカシンは、対戦相手のナニワ選手の指に噛み付き、お客さんにビンタをかまし
取材に来た記者さん達に蹴りをぶち込むという大暴れっぷり。
ナニワ選手、お客さん、記者さん。ごめんなさーい!たぶん俺のせいです…。
もうナカニシネタでイッシーをからかわないようにします…反省。



20020330




■サクシャ、コソーリツブヤク。

…コジ、「肉落とせ」で怒る前に突っ込む事があるだろ?(ワラ

「添い寝だぁ?だったらもうちょっと肉落とせ!」
            ↓
     「ナカニシと添い寝したいかも…」

って事だろうが、バカ!(ワラワラ
(ちなみに『「頑張って下さい、ナカニシさん!」事件』は、実際にあった事件です)






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